月 の 宴

恥じらいつづけて花 憧れつづけて恋
泣き出しそうなこの胸 膝を抱えて唄
恥じらいつづけて花 憧れつづけて愛
張り裂けそうなこの胸 あなたの夢忍び込めたら
 淋しい人はいらっしゃい 今夜ほうき星がでるよ
 夕凪の浜に帆を上げ お酒の用意もあるよ
 哀しい人はいらっしゃい 涙の星流して
 今宵受け月 あなたの願い受け止めてくれるよ
恥じらい疲れて花 溢れるばかりの夜
あきらめきれずにまた夢 放り出してしまえば幻

さすらいつづけて風 何処までつづくか空
ひとり寝の窓に雪 遠く聴こえる流行唄
さすらいつづけて風 何処までつづくか星
明日になれば陽は射す 私の声尽きる時まで
      淋しい人はいらっしゃい 今夜ほうき星がでるよ
      三日月に白い帆を張って お酒の用意もあるよ
      哀しい人はいらっしゃい 涙の星流して
      憂いの海渡れば やがて満月になるよ
さすらい疲れて君 想い出ばかりの夜
あきらめきれずにまた夢 放り出してしまえば幻

      2006,3,31.




武 蔵 野

武藏野の雑木林の向こう 夕焼けがあった
古ぼけた渡り廊下の向こう 明日が待ってた
あの娘の名前を 書いては消した
書いては消して そしてため息をついた

あの日の僕を乗せて 郊外電車は往く
移りゆく景色に 何を見ていたのだろう
あの時僕と君は 円形校舎にもたれ
ただ何も言えずに 夕焼けに溶けてた
 もういいかい 思い出がかくれんぼ
 まぁだだよ さわらないでそっとしときよ

武藏野の雑木林の向こう 夕焼けがあった
古ぼけた渡り廊下の向こう あいつが立ってた
あの娘の名前を 書いては消した
書いては消して そしてため息をついた

あの娘は母親になり あいつは遠い国へ
久し振りの便りは 精一杯の元気
往ったり来たりの日々 眠れぬ夜の中で
夢に見る景色は 土の匂いがする
 もういいかい 思い出は物語
 もういいよ そろそろ答えを出す頃だろう

武藏野の雑木林の向こう 夕焼けがあった
古ぼけた渡り廊下の向こう 明日が待ってた
輝ける時は 俺達の旅は
終わるはずがないと 信じて疑わなかった       

2006,1,8.



春風サンタ
雪解けの水に 手をかざせばほら

聴こえてくるでしょう 銀色のシンフォニー

谷から谷へと 梢を伝って

流れてくるでしょう 新しいハーモニー

 

 春風のジングルベル まだまだ若いサンタクロース

 大人達へのプレゼント 沢山持ってる

 春風はジングルベル お髭のないサンタクロース

 見つけられたらパラダイス 夢のない奴にゃ内証だよ



あの空の彼方 遠い旅に出た

あの人の国へ 届けて下さいな

泣いたりしないよ 幸せになるよ

飛び切りの笑顔 届けて下さいな



 春風のジングルベル まだまだ若いサンタクロース

 大人達へのプレゼント 沢山持ってる

 春風はジングルベル お髭のないサンタクロース

 見つけられたらパラダイス 夢のない奴にゃ内証だよ

  ほらほらサンタ ほらほらさくら ほらほら咲いた



 春風のジングルベル まだまだ若いサンタクロース

 大人達へのプレゼント 沢山持ってる

 春風はジングルベル お髭のないサンタクロース

 見つけられたらパラダイス 夢のない奴にゃ内証だよ
ほらほらサンタ ほらほらさくら ほらほら咲いた                
2005,4,25. 北海道厚岸にて



新しい風フッ

新しい風フッと感じたら
新しい風フッと感じたら
行けるとこまで行ってみようや
頑張ったり無理したりしないでさ
あの丘の向こう海が見えたら
あの丘の向こう海が見えたら
いちにのさんで飛び出してみようや
頑張ったり無理したりしないでさ
 ほーらほーら 
そんなとこに立ち止まってちゃダメ
 ほーらほーら
 臆病な風なんか知らんぷり
 ほーらほーら
 勇気出して 素敵なあの娘誘い出そう
ふたつの影夕焼けに染まったら
ふたつの影夕焼けに染まったら
黄昏色の星屑を枕に
あの娘とふたり月まで行っちゃおう

 ほーらほーら 
そんなとこに立ち止まってちゃダメ
 ほーらほーら
 臆病な風なんか知らんぷり
 ほーらほーら
 勇気出して ダメな時はたっぷり泣こう
時計の針ゆっくり感じたら
時計の針ゆっくり感じたら
背中に見えない羽も生えたし
何処までだって飛んで行けるだろう
新しい風フッと感じたら
新しい風フッと感じたら
海でも空でも月でも何処でも
時を越えて飛んで行けるだろう

新しい風フッと感じたら
新しい風フッと感じたら

      2005,11,11



あたりまえさ あんたのこと



あたりまえさあんたのこと

一度だって忘れたことはない

あたりまえさあんたのこと

一度だって恨んだことはない

 いつかどこか知らない町で

 もしもあんた見つけたら

 ひと晩じゅう付き合って貰うよ

 泣き続けてやる

泣き疲れて眠った振りをするから

そんな時あんたは眼鏡をホラ触る癖

あヽあヽあヽ 憎らしいったらありゃしない



あたりまえさあんたのこと

一度だって忘れたことはない

あたりまえさあんたのこと

一度だって恨んだことはない

 夢の中でまだ若いあたしは

 時計の針戻しながら

 部屋のドアは開いたままで

 珈琲立ててる

泣き疲れて目が覚めて思い出すよ

煙草のけむりあんたのホラあの仕草

あヽあヽあヽ意地らしいったらありゃしない



あたりまえさあんたのこと

一度だって忘れたことはない

あたりまえさあんたのこと

馬鹿だね 馬鹿だね  

あヽ 憎らしいったらありゃしない
2004,12,23


ジンセーモヨー

優しい人だと信じても 優柔不断が見えてくる
おしとやかな娘と思っても ただの愚図に見えてくる 嗚呼
男らしさに惹かれたのに 分からず屋でもうやり切れぬ
しっかりものを射止めたのに 融通は利かぬは気は強い 嗚呼

誰も教えちゃくれない 学校のセンセーも言わない
恋に焦がれて熱にうなされ 熱が醒めてもうなされる
ショギョームジョー ちょっとビミョー
ショギョームジョー ビミョー
ナンミョー ホーレンソー
アーハン

明るく気立ての良いあの娘 いらぬ事ばかりよく喋る 
お気楽面白いあいつは 三日もすればもう煩わしい 嗚呼
グッと見つめられ惑わされた 君の瞳は単なる近視
無口で渋いあのお方は お見かけ通り身体が弱い 嗚呼

誰も教えちゃくれない 学校のセンセーも知らない
恋に焦がれて熱にうなされ 熱が醒めてもうなされる
ショギョームジョー ちょっとビミョー
ショギョームジョー ビミョー
ナンミョー ホーレンソー
アーハン       

2004,6,28.




大場くんがあっちからやって来た

大場君があっちからやって来て
昔の話ばっかりするから
俺もちょっとその気になって飛び出して
雲の上で懐かしいあの唄歌おう
あいつは三十七で逝っちゃって
あちらこちらふわりふわり浮かんで
夢の中じゃずいぶんな人気者で
ファンクラブがお月さまにあるんだって
 ヘンなカタチのギターで
 ヘンなリズムに合わせて
 へんな呪文を唱えて
 アブラカタブラ オセポセオ
 オドラポンダオ オドーレオードレーヨー
まっちゃんもまだまだ修行が足りない
考え過ぎだぜ なんてエラソーに言うから
何を小癪な大場くん
掴まえて くすぐりっこして
目が覚めたらこんな唄出来てた


大場君があっちからやって来て
夢のウラ側へ行くって言うから
俺もちょっとその気になって飛び出して
宇宙の果ての果てでてげてげを歌おう
あいつは三十七で逝っちゃって       
いくつでもない歳の取り方をしてて     
何色でもないマント羽織って        
何だか訳ワカンナイお仕事してる      
 ほうき星のギターで           
 流れ星の五線譜に
 見た事もない音符は     
 アブラカタブラ オセポセオ
 オドラポンダオ オドーレオードレーヨー  
まっちゃんも馬鹿だな うまいことやりな
考え過ぎだぜ なんてエラソーに言うから
何を小癪な大場くん
掴まえて くすぐりっこして
目が覚めたら晴れ晴れと泣いてた

大場君があっちからやって来て
ホラ今その辺りに居るかもよ
ヘンなカタチのギターを抱えて
俺のとなりで弾いていたりしたら素敵

      2004,3,16.



森の哲学者

ふくろう膨らんで ふくろう福を呼ぶ
ふくろうふるさとの ふくろう森の中
ふくろう振り向いて ふくろうふと思う
ふくろう人の世は 不思議だなぁ

ふくろう膨らんで ふくろうふらだんす
ふくろうふるさとの ふくろう雪の中
ふくろう振り向いて ふくろうふと笑う
ふくろう人の世は 喜劇だなぁ

 昼間は眠ろう 夢うつつらら
 夜には歌おう 星降るホーッホーホホー
 おいらの森は 弱ーい奴も 強ーい奴も
 ただ生きている

ふくろう膨らんで ふくろう福を呼ぶ
ふくろうふるさとの ふくろう星の中
ふくろう振り向いて ふくろうふふふのふ
ふくろう人の世は 可笑しいなぁ

2003.10.31


鳴り砂のうた



ふるさとの海をふたりで

あてもなく歩いたね

つないだ手と手のぬくもりに

春まだ浅き汐風

寄せては返すあの波のように

僕らの愛も行ったり来たり



 あぁ鳴り砂よ 裸足のままで

 素直に愛を 託せばよかった

 あぁ鳴り砂よ 二度と返らぬ

 過ぎし昨日を 想って鳴くのか



祭囃子が響く頃には

あの砂浜恋しくて

ふるさと行きのホームに立っては

帰りたい帰れない

あぁあの時のあの場所行きの

夢の夜汽車を待ち侘びている



 あぁ鳴り砂よ 裸足のままで

 素直に愛を 託せばよかった

 あぁ鳴り砂よ 二度と返らぬ

 過ぎし昨日を 想って鳴くのか
2003.7.25


ホシノキモチ
砂浜で遊んでた童が大人になると

その海を埋めてしまうのは何だろう

砂利道探検してた童が大人になると

歩かなくなってしまうのは何だろう

何だろう 何だろう

夢物語抱えた童が大人になると

口を閉ざしてしまうのは何だろう

勉強大嫌いだった童が大人になると

分かったようなこと言うのは何だろう

何だろう 何だろう



 今祈ろう この街のあちこちでいつまでも

 今祈ろう この国のあちこちで子供たちの

 笑い声今日も届きますように



砂浜を埋め立てた輩は旬の魚食いたいなんて

嘆くのさ 何だろう

歩くことを忘れた輩は自然の恵み有難く

語るのさ 何だろう

何だろう 何だろう



 今祈ろう 砂浜の彼方にいつまでも

 今祈ろう 水平線の彼方にお天道様

 いつまでもどうか昇りますように



 今祈ろう この街のあちこちでいつまでも

 今祈ろう この国のあちこちで子供たちの



 笑い声今日も届きますように
2003.3.21


おもちゃの街

おもちゃの街を泣きながら
歩いているのはだあれ
積木のおうちはカタカタと
風もないのに鳴るのです
ゆらりガス燈火が灯り
途方に暮れるは影法師
どなたを尋ねて行くのやら
だあれもいないバス通り
 愛しいあの声聴こえたようで
 扉を開けては呼び掛けてみる
 見覚えのある部屋にあなたの
 名前を叫んだ途端に目が醒めた

おもちゃの街は遠い街
積木のおうち夜空に溶けた

チータカタッタカチータチータカタッタ
チータカタッタカチータチータカタッタ

カラクリ人形舞踏会
あれあれ今夜は何処の街
黄泉の国ではあるまいか
夕べの扉は何処へやら
あの人お空へ逝ってから
私の時計は逆廻り
もいちど逢わせて下さいと
今夜も儚い夢の中
 お空の上から見ているのでしょう
 夢で逢えたなら素敵なのにね
 時計を止めて星の向こうへ
 そのまま幻の街で暮らしましょう

おもちゃの街は  (おもちゃの街を泣きながら)
遠い街        (歩いているのはだあれ)
積木のおうち    (積木のおうちはカタカタと)
夜空に溶けた   (風もないのに鳴るのです)

チータカタッタカチータチータカタッタ
チータカタッタカチータチータカタッタ
チータカタッタカチータチータカタッタ
チータカタッタカチータチータカタッタ
2003.01.27


ご機嫌よう さようなら

あなたのキスが欲しいから
それだけで生きられるから
だめだな 飛び出す勇気もなくて
何度も嘘に付き合った
大好きな歌が聴こえる
『It's a sin to tell a lie . . .』 なのに
あたしも嘘つきになっちゃって
だめだな だめだね

最後の汽車は何時かな
誰にも会わないように
駅までの道をたどって
切符を握りしめたら
あん畜生にアッカンベーのバイバイ
いつまで改札口ばかり見てるのさ
だめだな 後ろ髪引かれるあたしに
さよならしなきゃ
ご機嫌よう 泣くもんか
ご機嫌よう 泣くもんか

部屋の鍵はポケットの中
何度も問いかけてくる
幸せそうな街をめがけて
窓から放り投げたら
あん畜生にアッカンベーのバイバイ
悔しかったらここまでおいで
だめだな 鬼さんこちらはいけない
しっかりしなきゃ
ご機嫌よう 泣くもんか
ご機嫌よう 泣くもんか
ご機嫌よう さようなら

2002,6,12


時間旅行

ちっちゃな頃引き出しの奥

宝物隠したよ

それがどんなに素敵なものか

思い出せずにいるんだ

初めて誰かに恋心

抱いたあの時のこと

それがどんなに素敵な人か

思い出せずにいるんだ

    あの人が消えてゆく

    切ない夢から醒めて

    気が付けば懐かしい

    あいつの顔さえ忘れてる

時間旅行にまぎれて

途方に暮れるさびしがりやさん

貴方の心の鍵を

開けて差し上げましょうか

時間旅行にまぎれて

途方に暮れるさびしがりやさん

淋しいなんて口に出したら

あなたの負け



もしもしそこで迷子になって

泣いている誰かさん

それは「しがらみ」っていう悪魔が

ちょっと意地悪しただけ

行きたい所分からないなら

お茶でも飲んで

カップの中にほら見えてくる

忘れ物を探しましょ

    誰もが知りたがってる

    素敵な宝物を

    古いアルバムの中

    無邪気に笑うあなたのこと

時間旅行にまぎれて

途方に暮れるさびしがりやさん

貴方の心の鍵を

開けて差し上げましょうか

時間旅行にまぎれて

途方に暮れるさびしがりやさん

淋しいなんて口に出したら

あなたの負け
2002.2.7


松山さんちの若旦那

肩で風切り    歩く姿は

音に聞こえし    撫で肩の

月を睨んだ    その立ち姿

ちょいとくだけて    柳腰

ひと節語ろか    ハイカラ都々逸

酸いも甘いも    柳に風と

目尻に刻みし    笑い皺眺むれぱ

北から南の    物語

    ああ松山さんちの若旦那

    四十を過ぎでも若且那

    松山さんちの若且那

    心棒だけは真っ直ぐ通りゃんせ



吹く風光る    武蔵野あたり

生を受けたが    幸いと

缶蹴り馬乗り    駄葉子屋通い

身体に染み込む    醤油の匂い

くよくよするなよ    腹を立てるな

親の口癖    噛みしめて

俺が俺がの    強者共を

何処吹く風と    いなして歩く

    おお松山さんちの若且那

    いつしか浮世の勘当解けて

    松山さんちの若且那

    辛抱だけは真っ直ぐ通りゃんせ



    ああ松山さんちの若且那

    誰が呼んだか若且那

    松山きんちの若且那

    心棒辛抱真っ直ぐ通りやんせ

    そうですあたしが  若旦那
2001.7.7


秋の日のおとぎばなし

秘密の基地を作ろう 追っかけっこだぞ
げんこつ爺さんの庭も こっそり横切って
くぬぎ林で寄り道 強い刀を探そう
神社の裏を抜ければ 俺たちのススキが原

秘密のパーティーをしよう 女の子には内緒
こっそり盗んだ柿 せ一のでかじれば渋柿
仲間以外には言うなよ 裏切り者ははりつけ
遊び疲れたら ゴロンと寝そべって

青空が朱に染まり 秋の陽はつるべ落とし
唇カサカサになる頃 東の空にポッカリと
青空が朱に染まり 秋の日はおとぎばなし
唇カサカサになる頃 東の空にポッカリと
お月さんだよ


月明かりの下 こっそり覗いちやった
物の怪たぬきが僕らの基地で お祭り騒ぎ
長い夢から覚めれぱ いつのまにか僕の部屋
てのひらに月の雫 布団には世界地図

秘密の基地はあれから 遠い遠い夢の中
物の怪たぬきも今では 遠い遠い山の中
世界地図を描いた子は やがて雲の上を飛び
されど夢は語り継がれ この子の胸の中

青空が朱に染まり 秋の陽はつるべ落とし
唇カサカサになる頃 東の空にポッカリと
青空が朱に染まり 秋の日はおとぎばなし
唇カサカサになる頃 東の空にポッカリと
お月さんだよ
2000.12.8.


てげてげ

※ てげてげ てげてげ てげてげ てげてげ てげてげ

てげてげ たいがいにしてよ
てげてげ たいがいはOK
 約束忘れて てげてげ 我を忘れて てげてげ
 命忘れて てげてげ 死ぬまで気付かない

てげてげ 色は浅黒く
てげてげ 怪しいひげ面
 記憶失くして てげてげ 友達なくして てげてげ
 命失くして てげてげ 死んでも気付かない

 その男は昔てげの方角から
 てげの波に乗って てげっとやって来た
 この国があまりにいいこちゃんばっかりで
 てげの王様が送り込んだのだが
 着いたとたん焼酎の魔力に
 いかれちまって そこから先へ
 進めずに てげてげ

てげてげ たいがいにしろよ
てげてげ たいがいはOK
 記憶失くして てげてげ 友達なくして てげてげ
 命失くして てげてげ 死んでも気付かない

※(Ref)
2000.8.11 鹿児島にて


世田谷線

ここは東京都 世田谷村さ

世田谷線 春は花吹雪
夏は陽炎の路
世田谷線 秋は夕間暮れ
冬は木枯らしの駅
世田谷線 朝はおとうさん
昼はじいちゃんばあちゃん
世田谷線 夕方は学生鞄
夜は浮かれ千鳥足
緑色の二両連結 油の匂い
窮屈そうに軋ませて
貧乏人も全持ちも
みんな仲良く揺られて
おうちへ帰るのさ

下高井戸から三軒茶屋まで
何処まで乗っても百三十円
リーズナブルな乗り物さ
京王線に軽く手を振り下高井戸を出発
おつぎは松原 山下 (小田急線お乗り換え)
だらだら坂は宮の坂
上町 世田谷 ボロ市通り
由緒正しい松陰神社前
若林じゃ環七通りを
大きな顔して横切って
地味な地味な西太子堂
そしてお待ちかね憧れの
三軒茶屋 僕が生まれた町 (新玉川線お乗り換え)

世田谷線 春は花吹雪
夏は陽炎の路
世田谷線 秋は夕間幕れ
冬は木枯らしの駅
世田谷線 朝はおとうさん
昼はじいちゃんばあちゃん
世田谷線 夕方は学生鞄
夜は浮かれ千烏足
丈夫で長持ち 雨風に打たれ
顔はごついが いい奴さ
しょぼくれ男も二枚目も
みんな仲良く揺られて
おうちへ帰るのさ おうちへ帰るのさ
世田谷村へ掃るのさ
2000.3.31



片 道 切 符

夜更けの駅に 辿り着いた
君が19 俺は24
線路は行き止まり そこから続く海
小高い丘 ちっぽけな旅館
 海の匂いの部屋 硬すぎるシーツ
 一番列車の音を 聞いてから眠った
荷物は二人で たったひとつの
小さなトランク だったし
身軽な二人は 手をつなぎながら
美しいはずの 明日を語った
 丘の上に咲く ハマナスを飾り
 海鳴りの声に 二人訳もなく脅えた
夢は一番列車で 愛は一番列車で
辿り着いたと思えば また次の夜明け

暦をめくるたび 部屋は賑やかに
心軽やかに なっても
いつしか両手には 溢れる程の荷物
手をつなぐことさえ 忘れてた
 丘の上から 岬へ雪虫
 寒く切なくなりそうな 五つめの冬
ねぇ聞いてるのって 君が呟いて
ううん何のことって 俺が応えて
溜め息が窓に こだましたのは
君が涙を 見せた夜
 愛が見えては消え 夢が見えては消え
 岬の向こう 遠く流れ星が往く
海の匂いのする部屋 いつしか色褪せたシーツ
切符が涙を連れて 置き去りになってた

あれは何処の街 本当の街なの
もうひとりの俺が 今もあの娘と住んでる
夜更けの駅で 幕を下ろした
君が24 俺は29
1999,9,26.


なんとかなるさ

真っすぐに歩いてるのに 袋小路だったり
寄り道してたら ひょんなことで近道
信じた人に 陰口言われたり
嫌な奴が時には 味方だったりする
電話の声は弾んでるのに 待ちぼうけだったり
強く強く抱きしめられて サヨナラ言われたり
愛されたくて ただ愛した振りしたり
そんなことばかりでも

明日晴れたら とりあえず笑おう
明日晴れたら とりあえず話そう
お天道さまと風に ケセラセラ
今日も なんとかなるさ


真っすぐに延びてるのに 引っこ抜かれてみたり
大地に根ざしたつもりが 根腐れしていたり
君のことおまえと呼びたいけど 何だか怖くて
おまえと呼べた頃には すっかり醒めていたり
明かりを灯せば 見たくないものまで見え
真っ暗な部屋じゃ 自分自身も分からない
捨てる神あれば 拾う神もあるさ
くさったら 腐るよ

明日晴れたら とりあえず笑おう
明日晴れたら とりあえず話そう
大事な人にお早よう ケセラセラ
今日も なんとかなるさ

なんとかなるさ なんとかなるさ
1999.7.2


待 ち ぼ う け

逢いたさ募るあなたの面影
待ちぼうけ 待ちぼうけの夕暮れ
切なさ募るあなたの幻
待ちぼうけ 待ちぼうけのさよなら

あなた魔法かけて時を止めた
僕が答えばかり欲しがるから
ゆうべの電話ため息の意味
分かるかしらと謎を掛ける
いつまで待っても電車は来ない
橋の向こうに見えるのに
陽炎みたいゆらゆら揺れて
夕間暮れ

あなたを待ちきれず サヨナラと決めた
若過ぎたんだろうな あなた好きになるには
多摩川の駅 花吹雪

迷い道しながら 何年経っただろう
想い出棲む街で あの店はもうないけれど
多摩川の駅 花吹雪

逢いたさ募るあなたの面影
待ちぼうけ 待ちぼうけのさよなら
切なさ募るあなたの幻
待ちぼうけ 待ちぼうけ・・・・
1999,4,8.


ま ぁ い っ か

今夜中にやっておかなきゃ ならないことがある
今のうちに済ませちまえば ラクになるのは分かりきってる
んだけども いっか まぁいっか 酒飲んじゃおっかなぁ
まぁいっか まぁいっか 本当は良くないけどいっか

あいつには言っておかなきゃ ならないことがある
あんな奴に言われっ放しじゃ 俺の男が廃る
ってなこたぁどうでも いっか まぁいっか 線引いて放っとこう
まぁいっか まぁいっか あんな奴もうどうでも いっか

考えだしゃキリがない 考えないも能がない
悶えて悩んでやり切れなくて あとは自分に甘えるだけ

生きてればさぁ誰も分かって くれない時もある
生きてればさぁ独りぼっちの 切ない夜もある
泣いたらもう いっか まぁいっか 飯喰って寝ちゃおう
まぁいっか まぁいっか 本当は良くないけどいっか

まぁいっか(よくない)まぁいっか(よくない) 酒飲んで寝ちゃおう
まぁいっか(よくない)まぁいっか(よくない) あっち往ったり来たりでいっか
まぁいっか いっか あ〜あ
1999,1,31.


俺 が 駄 目 な 時 に

俺が駄目な時に来てくれ
無理は承知だ 愚痴は聞かさないから
俺が駄目な時に来てくれ
そばに居て背中ポンと押してくれ

おまえに会えた日には
星のまたたきも聴こえる
闇夜の晩にも目を凝らせば
明かりが見えるようだ
流行りのうたがまるで
懐かしいあのうたに聴こえる
おまえのくちびるは不思議な
魔法使いが住んでる

 オリオンの中に流れ星
 見つけられたら夢が叶うわ

俺が駄目な時に来てくれ
そばに居て背中ポンと押してくれ
俺が駄目な時に来てくれ
そのあとでもっとうんとわがまま言ってくれ

 燃え尽きた星を集め
 誰も見たことのない星座つくるよ

俺が駄目な時に来てくれ
そばに居て背中ポンと押してくれ
俺が駄目な時に来てくれ
そのあとでもっとうんとわがまま言ってくれ
1998,9,18.

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